TACs(三叉神経・自律神経性頭痛)の診療について

 TACs(三叉神経・自律神経性頭痛)は、眼窩奥や眼窩周囲が強烈に痛む顔面痛と涙や鼻水などの自律神経症状が同時に起こることを特徴とした頭痛の総称です。TACsには、群発頭痛、発作性片側頭痛、短時間持続性片側神経痛様頭痛発作、持続性片側頭痛の4つのタイプがあります。これらの頭痛は、それぞれ原因や発作のパターン、治療法が異なります。

 TACsの治療には、主に薬物療法と酸素吸入療法が用いられます。薬物療法では、発作を予防する予防薬と発作を止める頓用薬があります。予防薬には、血管拡張作用を抑えるベラパミルやリチウムなどがあります。頓用薬には、片頭痛治療薬であるトリプタン類、インドメタシンなどがあります。酸素吸入療法では、高濃度の酸素をマスクで吸入することで、発作を早く収める効果が期待されます。

 TACsの治療は、個々の患者さんの頭痛の特徴や重症度に応じて適切に選択される必要があります。また、副作用や相互作用にも注意が必要です。TACsは歯科や口腔外科などで診断されることもありますが、脳神経内科や脳神経外科など頭痛を専門とする医師に相談することをお勧めします。同じく強烈な痛みが出現する三叉神経痛とは異なる病気です。三叉神経痛の場合には手術適応があります。また片側眼窩奥の痛みには内頚動脈解離のケースも散見されるため、MRI(MRA)による精査は必要でしょう。

 TACsは非常に苦しい頭痛ですが、正しい診断と治療で改善する可能性があります。このような症状でお悩みの方は一度ご相談ください。