片頭痛発症抑制に対する新規皮下注薬剤のお知らせ

片頭痛は慢性的に繰り返される耐え難い痛みを伴い、身体的のみならず精神的、そして仕事や生活全般にわたり患者さんに悪影響を与える疾患です。

ヒト抗CGRP受容体モノクローナル抗体製剤が日本でも使用することができるようになりました。アイモビーグは、2018年5月17日に米国で成人の片頭痛に対する予防療法として承認されて以降、2021年5月には、EU全域、イギリス、カナダ、オーストラリアを含む71の国又は地域で承認され、世界の多くの規制当局から成人の片頭痛予防薬として承認されています。

①アイモビーグとは

片頭痛の病態形成に中心的役割を果たすカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の受容体を選択的に阻害する唯一の完全ヒトモノクローナル抗体です。

②投与方法

初回投与時から継続投与時、そして中断後の再開時にも一貫して、4週間に1回1本を皮下注投与します。開始時や中断再開時に2本投与することもありません(値段が2倍かかることもありません)。

③効果

  • 投与開始から4、5、6ヶ月目における平均月間片頭痛日数が50%以上減少した患者の割合が31.5%(国内第Ⅲ相試験)。
  • アイモビーグ投与した患者における平均月間片頭痛日数がベースラインから50%以上減少した患者の割合は、二重盲検投与期の最後の4週間において46.5%、非盲検投与期(64週目まで)の最後の4週間において64.8%。
  • 投与開始から52週目(約1年)における平均月間片頭痛日数がベースラインより50%以上減少した割合が61%、75%以上減少した割合が38.5%、100%減少したスーパーレスポンダーが19.8%(約2割)

~~試験デザイン~~
成人発作性片頭痛患者955例
他施設共同、ランダム化、層別化、二重盲検、プラセボ対象、並行群間比較試験

④安全性

副作用として注射部位反応、便秘などが報告。

当院では、片頭痛のような類似症状をきたす頭蓋内疾患が存在していないかをチェックし、症例ごとにこの治療薬の適応があるか確かめながら患者さんと相談の上、治療をおこなっています。頭痛が酷く、仕事や学業に支障がでたり、家事育児などの日常生活が普通におこなうことができない状態のかたは一度ご相談ください。