2025年日本高血圧学会の「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」要約

2025年8月に日本高血圧学会が発表した最新の「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」は、2019年以来6年ぶりの全面改訂となりました。

最大の特徴は、これまでの年齢や持病による細かな区分を廃止し、「全年齢で130/80mmHg未満」を原則的な目標とした点にあります。

1. 降圧目標の「一本化」

最も大きな変更点として、診察室での血圧目標が以下のように整理されました。

  • 基本目標: 130/80 mmHg 未満(診察室血圧)
    ○ 家庭血圧: 125/75 mmHg 未満を目安とする
  • 高齢者への対応: 75歳以上の後期高齢者についても、個別の状態(忍容性)に配慮しつつ、原則として130/80 mmHg未満を目指す方針が示されました。
  • 改訂の背景: 厳格な血圧管理が心血管疾患だけでなく、認知機能低下や認知症の予防にも有効であるという最新のエビデンスに基づいています。

2. 生活習慣修正とデジタル技術の導入

薬物治療に頼る前に、あるいは並行して行う「生活習慣の改善」がより具体化・強化されました。

  • デジタル治療の初掲載: 高血圧治療を補助するスマホアプリが、公式に推奨される治療支援ツールとして初めて掲載されました。
  • 減塩とカリウム摂取: 1日6g未満の減塩に加え、野菜や果物に含まれるカリウムの積極的な摂取が推奨されています。また、家庭で手軽に測定できる「尿ナトカリ比(尿中のナトリウムとカリウムの比率)」の活用も盛り込まれました。

3. 診断と治療の新たな枠組み

  • 名称の変更: ガイドラインの名称が「高血圧管理・治療ガイドライン」となり、単なる数値の低下(治療)だけでなく、生涯にわたる「管理」の重要性が強調されています。
  • 薬物療法の分類: 降圧薬がその特徴や使い方に応じて「G1〜G3」の3つのグループに再編され、患者の状態に合わせたより精密な処方が可能になりました。
  • 新治療の普及: 薬が効きにくい「治療抵抗性高血圧」に対し、カテーテルを用いた腎デナベーション(RDN)などの最新治療についても言及されています。

注意が必要な点

目標値が厳格化された一方で、血圧を下げすぎることで生じる副作用(ふらつき、腎機能低下、過降圧)には十分な注意が求められます。特に高齢者や虚弱(フレイル)な状態にある方は、主治医と相談しながら段階的に目標を目指すことが推奨されています。