片側顔面痙攣や三叉神経痛の診断における当院MRI RSSG法について
片側顔面痙攣や三叉神経痛の診断において、MRIのRSSG法(RF Spoiled-Steady state Acquisition with Rewound Gradient Echoの略称で、高コントラストなT1強調画像を高速に撮影できるシーケンス)は非常に重要な役割を果たします。
これらの疾患は、血管が神経(顔面神経や三叉神経)を圧迫することで起こるため、「神経と血管の接触」をいかに鮮明に描き出すかがポイントです。RSSG法が他社技術と比較しても有益な理由は以下の通りです。
1.「水」と「脂肪」のコントラスト調整に強い
RSSG法はパラメータ設定の自由度が高く、特に「3D RSSG-WE(Water Excitation)」という手法を用いることで、神経の周囲にある脂肪(側頭骨付近など)の信号を抑え、脳脊髄液(水)の中に浮かぶ神経と血管の境界を非常にシャープに描出できます。
2. 微細な血管の「黒抜き(フローボイド)」効果
RSSG法は、血流を黒く写す(フローボイド)設定が可能です。
- 脳脊髄液: 白(または灰色)
- 神経: 灰色
- 血管: 黒(無信号)
このようにコントラストがはっきり分かれるため、読影医が「どこで血管が神経に触れているか」を詳細に把握しやすくなります。当院ではこれらをさらに判別しやすいように工夫をして画像描出しています。
3. VSRAD等で培われた「歪みの少なさ」
RSSGを用いた撮像において、歪みを抑える補正技術に長けています。顔面痙攣の術前シミュレーションでは、コンマ数ミリのズレが手術計画に影響するため、正確な位置再現性は大きなメリットです。
4. シーケンスの組み合わせ(Fusion)への適性
三叉神経痛の診断では、RSSG法で撮った画像と、水信号をより強調した「RADAR(体動補正)」や「3D isoFSE」画像を重ね合わせる(フュージョン処理)ことが一般的です。RSSGは解剖学的な構造(基準となる地図)として非常に優秀なため、重ね合わせの精度が高まります。
結論
RSSG法は、血管と神経を明確に映し出せるため、手術適応の判断(MVD術前評価)において極めて信頼性の高いデータを提供してくれます。


